歯ぎしり・食いしばりの原因になる眼瞼下垂

眼瞼下垂は、まぶたが下がり視野が狭くなるため、日常生活において様々な不調の原因になることがあります。特に肩こりや頭痛、目の疲れ、眉間のシワ、おでこのシワ、歯ぎしりや食いしばりなどが眼瞼下垂と関わっている場合があることが少なくありません。

眼瞼下垂はまぶたが下がって見にくくなり、視野が狭まると、無意識に眉間やおでこの筋肉に力を入れて、まぶたを開けて視野を広げようとします。
眉間やおでこの筋肉に力を入れていると、額や首の筋肉の緊張状態が続き、肩こりや首の痛み、片頭痛などを引き起こしてしまいます。また、目の周囲の筋肉も常に緊張しているため、目の疲労感が増して集中力が続かない原因にもなります。

歯ぎしりは、寝ている間や起きている間に無意識に上下の歯を強く擦り合わせる状態を言います。専門的に「ブラキシズム(口腔内悪習慣)」と呼ばれています。
歯ぎしりの原因は、悪い噛み合わせ(不正咬合)やストレス、睡眠障害、生活習慣によって引き起こされると考えられています。

食いしばりは、集中している時や寝ている間など無意識に「強く噛みしめる」状態を指します。歯ぎしりは「ギリギリ」など音がしますが、食いしばりは音が鳴らないため自覚しにくい傾向があります。
食いしばりの原因ははっきりしていませんが、歯ぎしりと同様にストレス、悪い歯並び、噛みしめぐせ、飲酒、喫煙などによるのではないかと考えられています。

歯ぎしりや食いしばりは、アゴの関節や歯の摩耗、肩こりや頭痛など、様々な症状を引き起こすことがあります。歯ぎしりを放置すると、日常生活での集中力の低下やストレスの増加など様々な問題が生じるリスクがあります。

眼瞼下垂が原因で歯ぎしりや食いしばりの症状が出る人が多くいます。眼瞼下垂の症状があると、一生懸命、目を開こうとして咬筋と側頭筋の筋肉に余計な力が入り、アゴの関節周辺にまで力が入ってしまいます。そのため、寝ている間や無意識の状態で歯ぎしりや食いしばりが発生し、アゴの痛みや歯の摩耗に繋がることがあります。
もし慢性的な肩こりや首の痛み、ご自分では気がつかない歯ぎしり、食いしばり、歯の削れが目立つ場合には、眼瞼下垂の症状も確認することをお勧めします。

眼瞼下垂の手術は、瞼板から離れた挙筋腱膜を固定することで、まぶたを持ち上げる筋肉の機能を改善し、まぶたを開きやすくします。
手術後は、無意識のうちに使っているおでこや眉、首の筋肉の緊張が和らぎ、肩こりや首の痛み、頭痛の改善が期待できます。また、目を開くために余計な力が入っていた咬筋と側頭筋の筋肉の緊張が和らぐようになるため、眼瞼下垂の手術後に歯ぎしりや食いしばりが減ったという患者様が多くいます。

歯ぎしりや食いしばりの治療はマウスピースの使用や、歯並びを矯正する治療がありますが、歯ぎしりや食いしばりの主な原因に「ストレス」によるものがあるため、ストレスのコントロールも非常に重要になります。
そのストレスの原因の一つが、まぶたが開きづらく視野が狭くなる眼瞼下垂の場合があるため、眼瞼下垂の手術を受けることで症状が改善することが期待できます。
手術後はまぶたを開けるのが楽になり、眉間、額、首、アゴなどの筋肉の緊張が和らぎます。さらに慢性的な疲労感が改善することで、交感神経の活動が正常化し睡眠の質が向上します。良い質の睡眠によってストレスが軽減するようになります。
ただし、眼瞼下垂の手術を受けた後でも、おでこや眉間の筋肉を使って目を開ける癖がある方は、おでこや目周りの筋肉が緊張した状態が続くため、リラックスすることが難しいかもしれません。歯ぎしり、食いしばりの原因が他にある場合は、手術を受けてもこれらの症状が解消されない可能性があります。

もしまぶたが重く、歯ぎしり、食いしばりの問題がある場合は、眼瞼下垂が関係するか専門医に相談することが重要です。まずは医師やクリニックでのカウンセリングを通じて、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。

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立花院長

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